2013年05月25日

個性的な男

転送されてきた葉書は、友人の個展の案内状だった。

新作家具の写真の余白に、「また一年生きのびてしまった」 とある。


(あ、そうだった・・転居したこと言ってなかったわ・・)

絵葉書を選び、引っ越したことのお知らせを書いた。
「同じ県になったから、今度は近いよ、個展は行くよ」・・と書いて投函した。



彼は、ヨーロッパへ貧乏旅行の途中、
インドに居ついてしまい、なんと、7年間もインドで暮らしていた。

今は・・ひとり、山の中の工房兼住居で家具を作って生活してる。

アタシの男友達の中で一番古いつきあいで、
気が向くとぶらっと出かけ、彼の手料理でお酒を飲み、
とりたてて話すこともなく、ぼぉ〜っと山の空気に浸りながら、
眠くなったら、彼のベットを提供されて眠る・・という、実に不思議な付き合いだ。
もちろん、恋人でもなければ、逢いたくてたまらなくなるというような男でもない。

それじゃぁ、なぜ行くのかといえば・・
心が回帰するから。







今日は朝から寒かったが、出かけることにした。
ワイン2本と珈琲豆を手土産に家を出る。



山道をくねくね登り・・約1時間で着いた。

本当にここに来るだけで癒されるなぁ・・・

しかし、ここまで山奥に入るとさすがに寒かった。


マイナスイオンが溢れる家




















薪























玄関


薪2






















玄関のドアの取っ手が彼らしい(笑)


玄関ドア






















意外と・・花が好きなのよね・・


玄関の花






















工房の中は、薪ストーブが焚いてあり暖かかった。

相次いで訪ねてくるお客さんに、丁寧に珈琲を入れているこの男が・・
TAKAさん

TAKAさん
























点々と新作の家具が置いてあった。

先客がいて、家具を丁寧に見て回っていた。
買いそうな気配だったので、アタシまでドキドキと嬉しくなる。


工房























工房2





















家具が売れてお金が入ると木を買いに旅に出るんだと言っていた。

オドメーターは26万キロの大きなバンに乗り、
車の中で寝起きして、七輪でご飯を作り、お風呂は土地の公共浴場だそう。


たくさんの木が寝かせてある。


寝かせてある木























作品4





















作品3






















時計が掛けてある所・・奥に見えるドアの向こうが、彼の寝室。
8帖ほどあり、ベット・机・箪笥・冷蔵庫がある。


作品5





















左側の棚は、段違いの扉が可動式で気に入ったが・・・
家に置くスペースもないのであきらめた。


作品


























彼の作品は、台所の長椅子や、小さな丸テーブルなど何点か持っている。
フードバスケットは誕生日に「これやるよ」ともらったし、
クリスマスには、書類ケースをプレゼントしてくれたっけ・・

去年、突然行った時は、小さな"まな板"と、"バケット専用まな板"を二つくれた。
それが、使ってみて驚いたのよね・・
刃当たりが柔らかくて、軽くて使いやすく、洗って即乾くのよ。


家具は年々、シンプルになっているように思った。

しかし、家具を黙々と作り続けて食べていけるのだからたいしたもんだと感嘆する。


作品2

























形が面白い"まな板"があった。1000円の値札が付いていた・・
パンを切る時に使い勝手よさそうだったので欲しくなったが、
「持っていけよ」と言うに決まってるので、黙ってバックに入れた。


夕方になり、最後のお客が帰ると・・
「さぁ、打ち上げしようぜ!」と、えびす麦酒を持って来た。


アタシは車だから飲めないよと言うと、なんだ、泊まっていけないのかと・・
自分のグラスに満たし、
アタシには人参ジュースを持って来てくれた。


彼は、暴風雨以外はテラスで食事する。

これは工房の中から撮った写真だけど、波板の屋根がかかった広いデッキがある。
写真を撮り損ねたのが悔やまれるが、テーブルと椅子が置いてある。


家























デッキから階段を二段ほど下りた所は、台所。
土間になってる。

水道はないし、ガスもない。
電気は来ているが、裸電球が一つ吊り下げられているだけ。
もちろんテレビもラジオもない。
古ぼけたカセットデッキがあるだけ。
電話はあるが、パソコンも携帯電話もない。
井戸はあるが、最近、水が濁るらしい・・
水は、近くの公園の水道で汲んでくると言っていた。

彼は、七輪で玄米を炊き、おかずも手際よく作り上げる。


台所





















アタシがなかなか泊まる気になれないわけは・・
この台所で料理を上手く作れない事と、
トイレが外にあり、電気が来てないので・・
懐中電灯を首からぶらさげて用を足さねばならないこと・・かな(爆)







「それじゃぁ又来るね」・・と、席を立ったアタシに、
「ちょっと待てよ」と、奥に入った彼・・

「これ、うまいんだぜ」・・と、サバ缶を三つ渡された。

そして・・
珈琲カップの下に置いた千円札に目を留めた彼は、ふんと言う表情をした。





サバ缶

サバ缶
























まな板


まな板























ふと、心に感じたことがある。

肩の力が抜けていて、自然体で生きている人は案外いるのよね。
しかし、コツコツと同じ事を繰り返し積み上げて、研鑽して、
多くを語らず・・人に頼らず・・
自分の道を明るく歩いている人は、なかなかいないかもしれない。

そうだった・・TAKAさんに逢いたくなるのは・・きっと・・そこだった。

at 20:48│Comments(20)友人 

この記事へのコメント

1. Posted by KAZU   2013年05月25日 22:10
4 こんばんは、、、
ワイルドですね。。
こんな生活に憧れるのですが・・・・・
実際に私が真似をすると、
餓死しちゃうかも知れません。。(笑)

でも、ノームさんの心が
落ち着くのは分かりますよ。。(笑)
2. Posted by ミッキー   2013年05月26日 05:09
5 プロに失礼ですが曲線が美しい
優しく暖かい感じがします
俺は正反対で人がいないと生きていけない
達人
沢山いるんですね
素晴らしい
俺も旨い野菜作らないとね
笑顔の野菜
3. Posted by ノーム   2013年05月26日 08:28
KAZUさん
餓死?
そうねぇ・・近くにはコンビにもないし、
料理する前の段階でKAZUさんは倒れちゃうね(笑)

アタシのこと、あんがいわかってますね。
4. Posted by ノーム   2013年05月26日 09:23
ミッキーさん
最終的には"人"が出ますよね・・
そうなんです、彼は心底優しい人なんです。
横柄で、ぶっきらぼうで、電話は用件が済めばガチャっと勝手に切るし。
だけど、あったかいの。
いつだったか、家に来て帰る時に呑んべえ寿司を持たせたんです。
何日か経って・・「あんまり旨くて泣けてきた」・・と、一行の葉書が届きました。
5. Posted by えごのき   2013年05月26日 10:57
こんちには

出かけていました。
久しぶりに、「森の家」にお邪魔するとほっとします(^.^)

伯母さまといいTAKAさんといい、私にはその強さはないので、なおさら憧れます。
タカさんの作品素敵ですね。
そのまな板、1000円安い!!!
通販は、ないのででしょうか。

6. Posted by ミッキー   2013年05月26日 21:18
5 俺も忘れない
あの夏の日
里で食ったおにぎり
赤ちゃんは舐めて覚えます
俺も舌は一流
至高のおにぎりでした
7. Posted by ノーム   2013年05月26日 22:31
えごのきさま
こんばんは

えっホント?♪
嬉しいわぁ

TAKAさんの家具・・いいでしょ☆
ウチの長椅子は、年々良さが分かって来ました。
注文する時に、"胡坐でお酒が飲めるような" と言いました。
奥行きがあるので、悠々と昼寝も出来ます(笑)

まな板、1000円は安いですよね!
余った半端の木で作るので、その値段らしいわ(爆)
残念ながら、通販どころか・・・宣伝も何もしてないので、
ここに来る人が目に留めて買って行きます。
しかし、いったい・・この人達は、どうしてTAKAさんを知っているのかしら・・
不思議です。
8. Posted by ノーム   2013年05月26日 22:34
ミッキーさん
うっそ・・・
ホントなの?(爆)
嬉しいこと言ってくれますねぇ

アタシのお握りはさておいて・・
ミッキー野菜が美味しいのは、その舌のせいなんですね☆
9. Posted by があこ   2013年05月28日 10:45
う〜ん。ほんまワイルドな暮らし!
水道もガスもないなんて、とても真似できませんわ。

なにげに使われてる花台、いいなぁ。
どれも釘使われてなくて木ネジなんですね。
シンプルやけど、こだわり感を押し付ける感じがなくて
すごく暖かみ感じます。

バッグに入れたまな板・・ほんまにパクったのかと思って
旦那はんと大笑いしましたわ(笑)
10. Posted by ミッキー   2013年05月28日 18:50
5 あいきの先生?
違うか?
11. Posted by ノーム   2013年05月29日 07:40
があこさん
おはようございます

彼の一日の始まりは、七輪でお湯を沸かすことからなのよ。
水の確保と、火を熾す事が暮らしの基本なの。

花台に目を留めてくれたのね♪
これは、小卓を作っている途中、
木の真ん中にある節の所が抜け落ちてしまったので、
植木鉢のサイズに穴を開けたんですって。
花に水を遣って、鉢底から出る水は下に落ちる仕組みよ(笑)

アハハッ!まな板・・・すごく使いやすいです☆
12. Posted by ノーム   2013年05月29日 07:45
ミッキーさん
別人ですよ。

昨日は里畑で一日を過ごしてきました。
えんどう豆や人参、子ジャガ、紫玉葱、蕗、収穫しました。
えんどう豆をオリーブオイル&塩で炒めたのと子ジャガ煮でオヤジ晩酌しながら・・
豆ご飯を炊きました。
泣きたくなるくらい美味しかったー
13. Posted by ミッキー   2013年05月29日 10:58
5 自分で作ると旨い
趣味が一番です
職業にすると大変すぎます
今日は風の匂いが心地良いですよ
14. Posted by ノーム   2013年05月29日 12:32
ミッキーさん
こちらは雨が降りそうな天気です。
風の匂いが心地良い・・なるほど・・ミッキーさんらしい言葉で素敵!

これから床屋に行って来ますので、夜にでも里畑の様子を書くつもりです♪
見てくださいね☆
15. Posted by 風の宝瓶宮   2013年05月29日 20:51
ウィンザーチェアがとても気持ち良さそうで注目してしまった☆
こういうチェア、手間隙かかるだろうから、値段も素晴らしいと思うけど……。
いつか一脚、二脚ほしいなぁ。
憧れるわぁ

床屋の竜さん。
物知りで粋な人みたい。
こちらも注目してます(アハッ)♪
16. Posted by ノーム   2013年05月30日 06:19
風ちん
おはよー

そうね、風んちにはとても合うわね☆
背もたれの桟は、一本一本の木を削るしね・・
釘を使わずに、座板部分に差し込んで形を決めていくから、多分、普通の椅子より値が張るのよね(笑)
ウチの台所の椅子は、このタイプの古い椅子だけど(里から持って来た)ほんとに座り心地がいいのよね。
背もたれが透けて見通しがいいので、視覚的にも気持ちいいのよ。
ただ、重いと掃除が億劫になっちゃうから、軽い"センの木"などを使ってる椅子が良いと思う♪
椅子って難しいわよね・・実際に座ってみて身体にフィットするのを選ばないとね。

どこのお宅も、食卓は揃いの椅子でしょ・・
アタシはこれが不思議なんだわぁ・・
家族一人ひとりに合った椅子がいいのにナって思う。お茶碗やお箸のようにね(笑)
大きな食卓に、形がばらばらの椅子がある風景は素敵なのに・・・

風ちんて凄い記憶力ねぇ(爆)
"床屋の竜さん" に驚いたー(汗)
けど、ホントに粋人なのよ♪
毎月、床屋に行くのが今のところのアタシの癒しなんだぁ(ちょっとさみしいかも)
17. Posted by 森の人   2013年05月30日 09:44
おーーまたまた新しい達人登場ですね(^_^;)

takaさん 凄い ある意味 男として
憧れるライフスタイルッス

こりゃいつかマスコミになんぞリークされ
一気にブレイクしそうな予感しました。

それにしてもノーム様の周囲には凄い人多すぎーー (^_^;)

梅雨空の森は薄暗く気温も低いので
いつまでも寝てられます。つーか寝てます。
18. Posted by ノーム   2013年05月31日 08:11
熊さん
おはようございます
今日は久々の大晴れ♪
洗濯機フル回転よ(笑)

takaさんの事は、前の森の家に来た時に書いたんだけど、その時は彼のワイルドさに圧倒されて写真は撮らなかったのよ(笑)
熊さんですら真っ青なライフスタイルでしょ(爆)

ブレイクして欲しくないわぁ
アタシだけの秘境であって欲しい・・

テラスにある食卓の脇は、木のルーバーがあるのよ。
レバーで調節出来るようになってるの。
基本的に、毎夜、焚き火をするので、お酒を飲みながらルーバーを開け閉めして火の様子を覗う仕組みなの。

たまぁに行くから新鮮でワクワクするけれど、ここで暮らすのは凡人には無理だわね(笑)
いつかね、「アタシがご飯作るから!」って言って・・鍋の蓋を取ったら・・
こおろぎが棲みついててメゲちゃったのよ(汗)

takaさん、彼女がいるのよ♪
一週間に一度くらい訪ねて来て彼の手料理で充電していくらしいわ。
この時も電話があって・・
電話替わって話ししたんだけど、「もう15年になりました」って言ってた。
なんか・・かっこいいよね☆
19. Posted by 森の人   2013年05月31日 11:41
ギャー ますます かっこいーー(^○^)
世の中 広いですねーー
まだまだ 知らない人 すごい人達が
埋もれてるーー なんだか
再認識して チョー 良い気分っス

確かに知られずにこんな暮らし方で
人生を過ごす事って 今の世では
美学 かも って思いました。

熊もがんばるぞー 
彼女はいないけど ( 一一)
20. Posted by ノーム   2013年05月31日 12:18
熊さん
うふふふ・・熊さん、いつかウチに来たらお連れするわよ。
彼、野宿用のテントも持ってるし☆

同じ人生、思うように生きられたらこんな素晴らしいことはないわよね。
彼ね、熊さんとちょっと似てるところがあるのよ。
染色家の奥さんがいたんだけど、性格の不一致っていうの?
ずいぶん前に別れたのよ。
その、別れる決意をした瞬間てどんなだったと思う?
花火大会の夜だったらしいわ・・
お風呂入ってて、ドーンて花火の打ち上げる音を聞いてたら・・
(そうだ、今だ、)・・と・・ザブンとお風呂から出て・・そのまま家を出たらしい。
自宅から工房に通ってたんだけど、その工房を自分で改築して住んでるってわけ。

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