2013年05月14日

2013年05月14日

楽しんで生きるということ

「引越しはすんだんかい?
 首を長くして待ってるのに、ちっとも現れんから痺れ切らして電話したわ」


・・・と・・母方の親戚からお叱りを受けた。

毎年、庭の葡萄を摘んで、葡萄酒を密造してる伯父は入院中。
絵を描くことが趣味で、出来上がった新酒の瓶に、葡萄の絵を貼り付けて、
毎年送ってくれたっけ・・

まずは病院にお見舞いに行き、
その後、伯父の家に寄った。

長いこと伯父の介護をしていた伯母の今の暮らしは、
月水金と病院へ通い、日がな一日、伯父の傍にいる他は、
広大な敷地に建つシックな家に、たった一人で住んでいる。


門を入り玄関のブザーを押すまでに・・とてつもなく歩く・・(笑)



玄関までのアプローチ






















じいちゃんの三回忌に伯父が建てたカラスのモニュメント・・健在だった(爆)


表庭





















やっとたどり着いた玄関・・懐かしいな・・
質素でシックで・・大好き。

ブザーを押しても静まり返ってる・・

あぁ、裏の草むしりしてるんだわ・・と裏のブドウ畑に行ってみた。



玄関


























案の定・・伯母はブドウ畑にいた・・

長いことご無沙汰していたので、アタシだと気が付くのに時間がかかったようだ(笑)

葡萄畑の草を踏みながら、ゆったりとこちらに向かって歩いてくる伯母は、
水牛のようで可愛かった。

「お茶でも飲みましょ」

・・と・・日焼けした顔をほころばせた。



勝手口の通路脇にある、ちっちゃな小屋がすごく素敵だった♪
20年以上前に伯父と二人で手作りしたそうだ。

大谷石を積み上げ、トタン屋根は大工さんに頼んだらしい。

収穫したジャガイモや玉葱などの貯蔵庫になってる。


大谷石の小屋

























「お勝手からで悪いけどササ入って入って」 と、伯母の動作がとたんに機敏になる。


勝手口























勝手口から入り、台所に通された。


台所は土間形式の板張りで、床から大谷石を何段か積み上げ、壁は漆喰。
天井板がなく、太い梁がむき出しの吹き抜けで開放感がある。

床から立ち上げた長方形の木の台があり、畳敷きになっていて8帖ほどある。
ちょいと腰かけるに、ちょうど良い高さ。

脇には食卓と椅子が置かれて一体になっている。

流し台は、壁際に一列に据えられてあり、シンプルで和む。


「昨日、里から新茶が届いたんだわ」・・と、
大振りの茶碗になみなみと注がれた八女茶が美味しかった。

いろいろ大変でしょう?寂しくないですか?と聞くと・・

「寝たいときに眠れるしね、楽なもんだよ。
 それにね、案外いいもん食べてるんだよ」
・・と破顔する。

「今朝もね、パンがあったから・・シチュー作って食べたんだよ、
 その辺の菜っ葉摘んで、冷凍してあるトウモロコシ入れて、
 美味しく出来たよ。あんた、食べるかい?」

なるほど・・流し台の上には、菜の花みたいな菜っ葉や、蕗が笊に乗せてある。
これはきっと晩御飯のおかずにするのだろう。


手土産を何にしようかと悩んだが、
近所の和菓子屋でドラ焼きを買った事が悔やまれる。

あぁ・・パンでも焼いてくればよかったなぁ・・・
それとも・・呑んべえ寿司も喜んでくれたかもしれない・・




買い物はどうしてるの?スーパーまでは遠いでしょ・・と聞いたら・・伯母は笑って言った。

「そこにコンビニ出来たでしょ、あれは便利だわ、お金も下ろせるし、
 何でも珍しいものが売ってるねぇ」 と、目をきらきらさせて笑う。

コンビニまでは歩いていくの?と聞くと・・

「1・5キロくらいだからわけないよ。
 足が前よりはちょっと遅くなったけど、田んぼの畦の花を眺めながら歩くと楽しいよ」



せっかく来たんだから、何かやる事ないかと聞いても、何んでも出来るから大丈夫だと笑う。


さっき、ご仏壇にお線香を上げた時に、枯れかけた椿の花が気になっていたので、
「椿の花、新しいのを切って来ようか?」と言ってみた。

伯母は案外素直に喜んだ。

何でも雄大なものが好きな性質らしく、仏壇の花瓶も浜田庄司のデカイ壷だった(爆)

アタシが水を取り替えるから待ってて・・と言うのを制止して、
上半身が隠れてしまうような花瓶を持って・・スタスタと縁側を進み、
ガラス戸を開け、枯れた花を庭に投げ水を捨てた。
「いつもこうしてるんだよ」 と、振り向きざま、ニッと笑う。

真っ赤な椿の花を投げ入れした壷を眺めて・・伯母が言う。

「綺麗だねぇ、よかった、気になってたんだよ、ありがとねぇ」






「今日は嬉しかったよ、またおいでね」

齢80になる伯母の笑顔はとても素敵だった。

伯母























帰り道・・
伯母がいつも通るコンビニまでの道を、車をゆっくり走らせる。

田植えが始まっていた。

田んぼ
























心が洗われるような一日だった。

at 13:04|PermalinkComments(24)徒然